再生前
三重県四日市市富田一色の漁師町に大正7年に町屋として建築された建物です。
漁港に近接しているために、地盤が低く、伊勢湾台風時は、屋根が水没するほどで、これまで幾多の台風、高潮等の風水害にさらされてきました。
そのため、今回の現地再生にあたっては、耐震補強も考慮して設計にあたり、補強の為の梁、柱等は、古材と違和感がないようデザインにも留意しました。
再生後 メインカウンター
メインカウンターは、古材の梁を利用し、その厚みや古キズなどが、味わいを出しています。
土壁には藁の代わりにレモングラスを混ぜ込み、壁面のアクセントと共に、レモングラスの清涼感を演出しました。
客席から見えるキッチンの壁にはアンティークレンガを配慮し、油が飛び跳ねたときの掃除が簡単で、年月が経つほどに味わいの出る仕様です。
下駄箱
下駄箱には和箪笥を再利用し、引き出しの表版に兆番で履物の出し入れをできるようにしています。
再生後 外観
外観こそ周囲の長屋の雰囲気を残していますが、店内に入ると、家の古さを残しつつ、安らぎのある、でもどこか洗練されたデザインで、落ち着いて食事を楽しむことができる空間となっています。
今回設計・施工させていただいた和食 かんじ様については「古民家・文化財建造物再生デザイン」にて紹介していただきました。